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第67話
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千鶴が居なかった時と同じような毎日がまた戻ってきて、それでも俺と猫達は千鶴の帰りを待った。
まだ三週間。もう三週間。
アイツはちゃんと元気でやっているんだろうか。
最初から酷い生活をしてる印象しかないから、まともに飯を食べて風呂に入る毎日を送れているか心配でたまらない。
その日も夜中に濃いコーヒーを煎れて仕事部屋に入ろうとした時だった。
インターフォンが古臭い音を鳴らした。
手に持っていたカップをテーブルに乱暴に置いて玄関に早足で向かう。
こんな時間に来る奴なんかいないんだ。
扉を急いで開けると立っていたのは河内だった。
落胆した俺に「すみません」と謝る河内。
「いや、悪い、千鶴かと思って……」
「すみません……」
相変わらず能面みたいな表情で謝る河内の肩越しに目をやる。
乗ってきた車が停まっていた。
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