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第91話

もう狂っているのかもしれない。 千鶴に溺れて唯ひたすら腰を振るケモノ。 これじゃあ、千鶴の客と何も変わらない。 もっと特別な意味をこの行為に持たせたいのに、本能が邪魔をする。 どうしたら伝わる?どうしたら千鶴にもっと綺麗な世界を見せてやれる? わからない。わからないんだ、千鶴。 俺だって綺麗な世界を見た事がないから。 泥の中に浸かるように生きてきたから。 「千鶴、綺麗だ……」 千鶴の白い肌。髪。瞳。 どんなに身体を売っても千鶴は綺麗だ。 沢山の痣も傷も、千鶴の一部になって美しい。 「そんな事言うの、皐月さんだけだよ」 千鶴が見ている世界は綺麗なんだろうか。 俺もお前の見ている世界を見てみたいよ。 出来ることなら連れていってくれ。 この泥の中から引き上げてくれ。 「千鶴……」

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