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第104話
「ホント……いい人すぎるよ」
千鶴の声は少し掠れていた。
今にも泣き出しそうな顔で笑うから、胸のあたりが苦しくなってしまう。
千鶴からのキスを受け入れて、髪に触れた。柔らかい髪が指の間に絡まる。
「真幸は……」
千鶴を抱きしめたまま俺はまた話を始めた。
真幸との縁はまだまだ続く。多分もう死ぬまでこの縁は切れないんだと思う。
「引き取られた後、母親に言われてウリをやってたんだ」
「……」
千鶴の顔が少し強ばった。
ここからの話はきっと千鶴にも嫌な話になると思う。
「母親が客を見つけてきて自宅でヤラされてた。真幸は見た目は結構綺麗な顔してるから次から次に客がついたって、本人が言ってた」
学校にも行かず、母親が何処からか連れてきた客を相手にして金を貰うと、その金を持って母親は出掛けて行った。
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