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第131話
二次会に行く皆と別れて一人、繁華街を歩いた。
根津が教師を天職だと言っていたのを思い出した。仕事も家族も失って、根津は今どうしているんだろう。
夜の繁華街の雑踏の中、当ても無く彷徨った。
俺が悩んだってもう過去の話だ。何も出来ない。例え当時そこに居たとしても、何も出来なかっただろう。
なんて無力なんだろう。
もっと俺に力があれば、今すぐ根津を探し出してどうしているのか調べるのに。
小説だって書き続けていても、誰かに見せる訳じゃない。自己満足なだけだ。
結局、俺はずっと中途半端なままだ。
目的も無く歩いているうちに少し薄暗い路地裏に迷い込んでしまった。
表の通りの明るいネオン街の直ぐ裏は人通りも少なく、殺風景だ。
話し声が聞こえた気がしてビルとビルの間の狭い路地に目をやると、ビルの壁に一人が凭れそれに向き合う様にもう一人が拳を振り上げて殴りつけている所だった。
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