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第159話

根津は全てを諦めて戻れない所まで堕ちてしまっていた。 俺も真幸もそれだけは絶対に手を付けないと決めていた薬にも手を染めて、それを買う金を稼ぐ為に詐欺を繰り返していた。 当然、出過ぎた杭は目を付けられる。 俺と真幸がソッチ系の人間からも信頼を得るようになって下っ端の仕事から、もっと大きな仕事をする様になると根津は俺の名前を出して我が物顔で飲み屋や風俗店で好き勝手な事をし始めた。 下手に関わらない方がいいと判断して好きにさせていた。 何度か根津から呼び出しもあったけど、全て無視をした。 俺がダメだと分かると根津は真幸に近付いてきた。 俺があの時、根津からの呼び出しを無視しなければ……。 真幸は本当は優しい奴で、普通の家庭に育っていたらきっと今頃幸せに暮らしているはずだったんだ。 俺の事を一途に思ってくれていた。 再会してからも普通にしていたけれど、たまに向けられる貫くような視線に気付かないフリをした。

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