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第160話
俺の恋愛対象は同性だったけれど、真幸の気持ちにはどんなに一緒にいても応えられなかった。
俺の中で真幸は絶対的な存在で、その絶対は「家族」だったから。
真幸はそれを知っていた。
知っていてそれでも好きでいてくれた。
直接、言葉にはしなかったけれどずっとずっと真幸の気持ちは伝わって来ていた。
だから、根津が真幸にターゲットを変えていた事に俺は気が付かなかった。
真幸は根津との事を完璧に隠していたし、俺も根津から連絡がなくなったのは諦めたからだと思っていた。
本当は、俺のあずかり知らないところで根津と真幸は隠れて会い、俺に手を出さない事を条件に真幸は根津にいいようにされていた。
金を巻き上げられ、媚薬や非合法の薬を使って犯されたり、それを写真に撮られて強請られていた。
俺は何も知らなかった。知ろうともしなかった。
真幸がどんどん深い闇に堕ちていくのを気が付かないで見過ごしていた。
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