173 / 191

第173話

毎日のように編集者からメールや電話が来ていた。その全てを無視して俺は根津を探す為に街を彷徨った。 組の連中も探していたけれど、根津はなかなか見つからなかった。 日が経つにつれて俺の中は真っ黒になっていく。 意識が戻った真幸は薬を抜くためにベッドに拘束されていた。それを見た時更に根津への憎しみを膨らませた。 真幸はこの後も薬の事で苦しむ。依存症になった人間がどんなに辛いかくらいは簡単に想像出来た。 頭の中は根津を殺す事でいっぱいで、他の事は考えられなかった。 探し始めて二週間程が経って、組の連中から根津が見つかって捕まえたと連絡が入った。 組が所有する空き倉庫で制裁を受けて血だらけで倒れている根津。 可哀想だなんて微塵も思わなかった。 これが俺の将来を示してくれた先生の姿なのかと思うと、酷く虚しくなって殺したいと思っていたのにバカバカしくなってしまった。

ともだちにシェアしよう!