「俺が嫌いなら俺だけにすればいいだろ。誰も巻き込むな」 「お前を傷付ける為ならなんだって利用するよ、オレは」 何を言っても根津には通じない。 俺を憎む事で自分の存在を肯定して生きている根津は哀れだった。 なら俺は俺のやり方で大事なものを守るしかない。 根津がまだ何かを言っているその場を後にして、俺は真幸の元に向かった。 まだ薬の離脱症状で苦しんで正気じゃない真幸をこの目に焼き付ける。 二度と真幸の様な犠牲になる人間を俺は作らない。 大切な人が出来ても、心の中で思うだけにしよう。 根津がまた俺にちょっかいを出してきても、その大切な人が犠牲にならないようにひっそりと想う。 どうやったって今の俺が居るのは根津が居たからだ。 俺を恨む事で生きていけるなら、それで構わない。 俺は根津も真幸もこれから出逢うかもしれない大切な人も絶対守っていく。 それが俺の償いだと思った。