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6ー1:午後11時の決意 (5)
「んっ……んっ……」
切り揃えられたばかりの髪が、頬をくすぐる。
背後で、静かに扉が閉まる音がした。
空気の流れる音さえなくなった静寂の世界で、唾液が交わる水音だけが響く。
繊細な指が髪に絡み、俺を引きつけて離さない。
「はぁっ……理人さん……?」
俺を見上げるアーモンドアイが小刻みに震え、また瞼に閉ざされた。
飢えた獣のように貪りついた唇が、角度を変え、深さを変え、俺を追い詰めてくる。
時折触れ合う股間が、焦れったい熱を布越しにどんどん蓄えていった。
「んっ……ふ、ぅ……」
口づけの雨が止まない。
のしかかってくる重みを受け止めながら、柔らかいベッドに背中を沈める。
薄い唇が、首筋を掠め、胸元を暴き、そしてゆっくりと下っていく。
起ち上がりかけていたそれは、性急な愛撫を受けすぐに天井を指した。
肌蹴た衣服の合間を指が這い、上下する頭の動きに合わせてさらさらの髪が腹を撫でる。
物理的な快感と視覚的な快感を同時に与えられ、俺の欲望はすぐに爆ぜた。
理人さんはこくりと喉を鳴らし、そのまま口先でちゅうちゅうと吸う。
俺の股間に顔を埋めたまま、優しく袋を揉みしだいた。
一度は萎んでしまったペニスが、少しずつ硬度を取り戻し始める。
理人さんが、ようやく顔を上げて俺を見た。
息ができなかった。
獲物を仕留める狩人のそれではない。
いつもの恥じらうそれでもない。
強いなにかを秘めたふたつの瞳が、俺を見ていた。
「佐藤くん……」
震える声で俺の名を紡ぎ、理人さんがその長い脚で俺の腰を挟み込む。
昂ぶった熱を根本から支え、自分の後ろに当てがった。
「ん……っ」
ずぶりと先端が飲み込まれ、異物を押し出そうと懸命な筋肉が俺を締め付けてくる。
理人さんは苦しそうに目を瞑り、ほうと深く息を吐いた。
柔らかく開いた入口が、俺を奥へ奥へと導いていく。
「あっ……あっ……」
繋がりが深くなるにつれ、理人さんの膝の震えが大きくなる。
「理人さん」
「ん……?」
「大丈夫ですか……?」
「……」
「理人さん……?」
泣き笑いのような淡い笑みを浮かべると、理人さんは一気に腰を沈めた。
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