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第88話 番外編 婚約中10
「……ン……だめ……こら、そっちはダメだって。……また……怒られちゃうでしょー……」
「こらー!め!」
………
ン………め?
めってなんだ?
ぼーっと天井を見つめて目が覚めた。
今何か言ってたな俺……
寝言か?
はて?
何か夢でも?見ていたのかな……
えっと……
うーん、思い出せないや。
「おはよう」
「え、わ!マリーおはよう」
隣から声をかけられて驚いてしまった。しかも寝ながら無意識にマリーの右腕をずっと両手で抱きしめていたようで、恥ずかしくて慌てて離したら逆に抱きしめられてしまう。
「あ!えっと何か俺さ、言ってなかった?」
「うん?」
「寝言的な……の?」
「言ってた。良く聞こえなかったけど、楽しそうに笑ってたぞ?」
ガーン!寝ながらニヤついてたか俺!!恥ずい!!それに身体がだるいし綺麗になってる!
「うあぁ……ゴメン。またマリーが綺麗にしてくれた?」
最近は気がつくと寝てしまうようで、イタした後はマリーがお風呂に入れて綺麗にしてくれていた。
「勿論。謝らなくていい。発作は仕方がないし俺は大歓迎だし?あんなにシタ後だから疲れるのも当然だ。それに才の世話なら喜んでやるぞ」
「……もう……王子様に世話してもらうなんておかしいよ」
「愛しい婚約者の身体だちゃんと洗ってる。まずは……」
「も!もももういいから!洗ってくれてありがとう!じゃ、俺マリーの髪梳かしてあげるね!」
身体は毎回隅々まで綺麗になっているから、細かく説明されたら絶対恥ずかしいことになるはずだ。
眠るというよりも気を失っている気がする……それくらい毎回覚えてないし、途中でおきないし気がつかない。
綺麗にしてもらった後はそのお礼として、マリーの長い髪を梳かしてあげるようになった。いつも専属のお姉さん方がやってくれるのだけど、この時は人払いをしている為いないから。
「それこそ別にいいのに」
「いいの!俺がやりたいの」
「ふ……ありがとう」
「いいえー!はい、座って」
棚の引き出しにしまってある銀色の櫛を取り出して丁寧に梳かしていく。
マリーの桜色の長い髪はうっとりするくらい美しく、またいい匂いがする。
……お姉さん達みたいに綺麗にはできないけど、マリーへの感謝の気持ちだ。
それにこの時間がとても楽しいし幸せだなぁって思える。
……あははやっばいなぁ。
キュンキュンするぞー!
大人しく座っているマリーをギューッと後ろから抱きしめて、ちゅっと頬にキスをした。不意をつかれたマリーが一瞬きょとんとしている。
「マリー本当ありがとう。……大好き」
抱きしめながら心から囁いてマリーに甘えた。
それからキスを繰り返しているところに、朝食が運ばれて来て、朝ごはんとなってしまったけど、正直激腹ぺこだ!
そして前より確実に食べる量が増えた……ちょっと怖いけど、この食欲には勝てそうにない。
俺の身体も謎の変化に頑張ってるんだろうな。だからちゃんと食べないと。
自分に本当に子供が出来るのか半信半疑だけど、こればかりは想像にお任せするしかないのだ。
だってここは異世界だから!想像を超えた現実があるんだ!
だから信じるって決めたんだ。
俺の……だ旦那さんになる人のことをな!くっそ恥ずかしいー!
だけどそうなんだ!嫁に行くって決めたんだから、信じるしかないよね!
毎日ドキドキそわそわしてばかりだけど、迷惑かけてばかりだけど、俺のことを必要としてくれて愛してくれるんだから。
俺だって好きだし!!!
まぁ、きっとマリーに良く似た赤ちゃんができるんだろうなぁって思うよ。
っていうか、こんなに毎日シテるんだからできないわけないよね?
はは……あはは……
……
あぁ〜恥ずかしい……
今日もまたドキドキする1日が始まった。今日も明日もドキドキそわそわしっぱなしなんだろう。
俺は目の前で優雅に食事をしている愛しい美人さんをチラ見して、胸いっぱいに幸せを感じた。
番外編、婚約中おしまい。
ありがとうございましたー!
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