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第1話

海堂幸久(かいどうゆきひさ)、今年で37歳になる彼は未だに独身であった。 おっさんではあるが長身で少し気だる気な二重の目はエロチックでその容姿から女性に逆ナンされることもある彼だが女性には興味なく結婚も考えたことがなかった。 なぜなら幸久はゲイだからだ。 このことは親や友人にも告げていない。 故に今でも周囲から彼女はいないのか、結婚する気はないのか聞かれるが当の本人は軽く受け流している。 それでも自分がゲイであることを言わないのは初恋の彼との友人関係を壊したく無かったから。 実は今その友人の息子が幸久の家で同居していた。 「ほら旭、さっさと風呂入れ。」 「分かってる、今行くんだよ。」 茶髪に染めた少し長めの髪を揺らしながら不機嫌そうに風呂に向かうのは友人の息子、吉野旭(よしのあさひ)だ。 彼がどうして幸久と同居している言うと、 隣町からやって来た3つ上の友人、吉野大樹(よしのだいき)と久々に再会したときにこんな話をしていたのがきっかけだ。 「息子がさぁ、大学生になるから家を借りる事になって色々見て回ったんだけど あいつ狭いとか文句言って全然決まんないんだよ。大学生がそんな広い家借りられるわけねぇだろっての!!」 彼にはもうすぐ大学生になる息子がいるのだが 最近彼女と別れ機嫌が悪いようで家探しも難航していた。

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