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一呂side
「離婚した」
俺と百にその連絡が来たのは千里の結婚三年目のことだった。この時数年ぶりに会った千里はどこかスッキリしたような様子だったのだが…どこか憂いを帯びていた
「俺以外に好きな人ができて…妊娠…したみたい」
「お前はそれでいいの?」
「…この一年くらいかな…俺は研修とか色々で構ってやれなかったし…あいつはずっと子供が欲しいといっていたけど…俺といる限りそれはいつになるのかわからなかったし…彼女は俺より年上だし…やっぱり…色々考えたんだろうな…俺には出来なかったことをしてくれる相手がいて正直ほっとしてるんだ…」
「千里…」
「何かごめんな!新婚なお前たちに久しぶりの再会がこれで…」
「いや。たまにはこうしてまた飲みに行こう。お前は一人で余計なこと考え過ぎだ」
「あ。そうそう白鳥さんに聞いたんだけどさ半年くらい教育のために万里が帰国するんだって!久しぶりに会える!また四人で飯でもいけるといいな」
明るく話す千里の言葉をぼんやりと聞きながら…白鳥から聞く万里のことを思うと一抹の不安は拭えないまま万里帰国の日になった
万里が帰国した翌日、顔合わせがあると千里からも白鳥からも連絡が来ていた。
今頃どんな話をしてるんだろう?まだ仕事の話かな?それとも昔話に花が咲いているのだろうか…
しかし実際は…
「…万里が…千里くんを泣かせてしまったようなの…」
白鳥からの連絡に何も言えなくて…それは隣で聞いていた百も同じで…
すぐに千里に連絡をしたけれど千里とは連絡がとれなかった
「いち…」
「もも…」
百には悪いけどめちゃめちゃに泣きわめかせ抱き潰して…不安を取り払おうとした
「いち…千里と万里がなにがあったんだろう…」
「…」
「…」
「…俺たちにはできることがない…これは二人の問題…」
「きて…いち…全部俺にぶつけていいから…ね?」
「ん…愛してる…百代…」
結局俺たちは千里から連絡が来るまでできることなんて何もない…大切な人のために何もできないもどかしさはどうすればいいんだろう…
「…千里…万里…」
「もも…何でお前が泣くんだよ…」
俺に貫かれながらポロポロと涙を流す百をギュッと抱き締めた
「だって…いち…お前も泣きそうだから…俺…あいつらがいつも一緒にいるの見てるの好きだったんだ…何で…」
百は自分のために泣いたことはない。泣くのは俺に抱かれているときか自分以外の誰かが苦しんでいるときだけ…
百は昔からそうだ。バカでアホでどうしようもないけれど情が厚いのだ
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