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一呂side
実は白鳥は大きな会社の娘だったらしい。父親同士は友人で幼い頃から二人は許嫁だったそうで昔から結婚相手は万里だと言われてきた白鳥は恋愛を諦めていたそうだ。
見た目もまぁ…個性的…だったしで…
でも百と出会い綺麗になると言うことを楽しいと思えてそれなりに恋愛を楽しんできたそうだが…
婚約破棄はできるはずもなく学生までは何にも制限されず自由にして卒業したら大人しく嫁にいくつもりだったらしい。
「でもね…万里くんは辛そうだと…最後にお会いしたときそうお義父様から聞いていたの…自分が別れるよう万里くんに言ったはずなのにとても後悔してらして…」
万里から聞く万里の父は人のことを人と思わないような冷徹な人だと聞いていた。だからにわかには信じられない…
「でもこの婚姻はやめられないとおっしゃってた。理由は知らない…」
「お前はそれでいいの?」
「…私は…まだわからないわ…」
「ねぇ。白鳥さん」
「何?千里くん」
「あの人が呼んでるよ」
千里はいつしか女は白鳥としか話さなくなり男は俺か百としか話さなくなった。
重なる告白に疲弊してしまったようだった
「…ありがとう。いってくるね」
白鳥は相変わらず多くの男達から声はかかり続けてた
そんなこんなで万里の近況を聞きながらそれぞれ卒業し、就職した。千里は万里がかつて管理していたホテルへと道を決めていた。
万里と交際するきっかけとなったあのホテルだ。
千里は無意識に万里の影を追っているのではないかと…そう思っていた。
「私。万里くんの秘書になるの…」
「そう…万里のこと宜しくね。」
千里は柔らかく笑って白鳥を見送った。
仕事が始まってから土日休みの俺とは違い生活スタイルが変わってしまった千里とはいつしか疎遠となった。
年に一度か二度メッセージのやり取りをする程度になっていた。
千里の状況でさえも俺たちは白鳥から聞くしかなくなったのだ…
「千里くん結婚したの」
「え?」
「職場の子とね」
彼女がいたことさえ聞いてなくて驚いた。
「…千里は…幸せそう?」
「えぇ…とても…でもあれは…本当に千里くんなのかな?…」
「どういうこと?」
「…千里くん…仮面を被ってるようにみえるの…高校時代の彼女といたときみたいにね。
万里と付き合って万里がいなくなるあの日までの千里くんはとても人らしかったのに…今は別人みたい…そうね…無理して大人なふりをしてるような…幸せに見えるようにしてるような…そんな感じ」
万里の前の彼女とは長く付き合っていて恋人というより夫婦みたいな空気だったのを覚えてる。ただ千里は本当の千里を見せることはなかったようにも思ってて…
「万里。毎晩のように千里くんを思っては悪夢にうなされているの…早く…解放してあげたい…私ができるのは体を貸すこと…仕事で支えること…それだけ…万里の壊れた心は…私には修復のしようがない」
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