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みんなが出ていった後史澗くんは自分のブレザーを僕にかけてくれた。離れていく史澗くんの腕をぎゅっと抱き締める 「垓くん…怖がらせてごめんね」 「…ごめんねって…言うなら僕を抱きしめてよ」 「怖くない?」 「怖くないよ」 史澗くんは恐る恐るそっと僕を抱きしめた 「垓くんが…組み敷かれてるの見て…俺…頭に血が上っちゃって…」 「うん。ねぇ史澗くん…悪かったって思うなら…僕にキスしてくれない?彼の感触を少しでも…消したい…史澗くんが異性愛者なのはわかってる…でも…だめかな?」 「…垓くん…」 「…ごめん。困らせて…うん…大丈夫…今のナシで…」 抱きしめてもらっただけでも満足しなきゃ…そう思って俯いたらそっと長い指で顎を掬われそっと口付けてくれた。史澗くんとの初めてのキス。嬉しくて幸せでもっともっと欲しくなった 「史澗くん…もっと…して?」 「垓くん…」 史澗くんは好きな人を甘やかすような優しいキスをしてくれた。 「足りない…もっと…」 何度も何度も求める。これが最初で最後かもしれない そう思うと離れがたくて自ら史澗くんに腕を絡めた。 「垓くん。部屋うつろ?ここだとゆっくり甘えさせられない」 「ん…」 史澗くんは軽々と僕を抱き上げ部屋を後にした。 今日は先生が出払ってていない保健室に連れて来てくれてベッドに寝かせてくれた 「史澗くん」 「ん?」 史澗くんの手をぎゅっと握る 「すぐ戻るから少し待ってて」 そういうと史澗くんは戸棚に向かう。中からガーゼとか薬とか他にもいくつか取り出し戻ってきた 「ここ…痛かったね…」 さっき噛まれた部分を痛ましそうに見た 手際よく手当てをしてくれた史澗くんは片付け終わりまたもどってきてくれた。 「カーテン閉めるよ」 「うん」 「さっきの続きしていい?」 「うん」 「でも…その前に…話があるんだ」 「なに?」 「垓くんを巻き込んでしまってごめん」 「え?」 今回のことは史澗くんに好意を持っていた人が仕組んだことだったと話をしてくれた。だけど僕だってそうされる理由はあったはずだ。 だってあの人は僕のことが好きだったんだから。 「史澗くんのせいじゃないよ。それに史澗くん来てくれたじゃない?だから僕は嬉しかったよ」 「…垓くん…あのさ」 「ん?」 「あんな姿の俺見て…幻滅したでしょ?」 「ううん。ちっとも。初めてみた史澗くんの姿がかっこよくて…もっと好きになっちゃった。へへっ。しつこくてごめんね。史澗くんは女の子が好きなのにね?へへへっ」 「垓くんっ…」 史澗くんがぎゅっと抱きしめた 「どしたの?」 「垓くん。俺も…俺も垓くんが好きだよ」 「うん。ありがと」 「じゃなくて…垓くんと同じ意味で好きってことだよ?」 「へぇ…!!えっ!?それって…」 「俺だけのにしときたい…いっぱいいっぱい一緒にいたい。俺の恋人になって?」 「っ!!うん!うんっ!!!」 二人して泣いてるからなんだかおかしくなっちゃった。 「…ちょっと…早いけど…あいつの触ったところ…全部教えて?俺が…上書きしたいから…」 「うん…」

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