143 / 150
43
千里くんに再会した万里は早速暴走して千里くんに酷いことをしたようだった。
その後もいろいろあって…なんだか気になって仕方がなかった。
千里くんは無理してないかな?とか万里が我儘言ってないかな?とか。でもそんなの僕の杞憂で彼らは指導者として多くの社員を教育し新店舗への期待も高まっていた。
それもあって僕の仕事は増えていったし2人が気になるから何となく寝るに寝れなくて食べるに食べれなくて…そしてついに倒れてしまった…
寝不足と軽い貧血だと思ってた。だけど千里くんの前で以前も倒れたことがあって千里くんに説得され検査を受けることになった。
京華ちゃんの事もあったから年に一度はちゃんと検査したりもしてたんだけど…癌が見つかってしまった。
千里くんのお陰で早期発見できたから10日ほどで手術を終え回復し復帰できるとのことだった。
だけどとても不安だった。自分の勝手で万里と千里くんを引き離した自分勝手で傲慢な僕だってやはり不安にもなる。だけど病気になったことだって結局二人のせいにしてる。ここ最近は…二人のことをおもっていて悩んでいたからって一瞬でも過ってしまったから。結局僕は子供のまま。相手を思いやっているようでそれだってすべて自分の保身のため…本当に…僕は…
「最低だな…俺は」
ポツリと一人呟くとそれに答える声がした。
「何が?」
誰もいないはずの扉のところから急に聞こえた声に驚いて顔をあげる
「え?いつの間に…?」
そこにいたのは京華が亡くなった時振りに会う史澗くんだった。相変わらず優しい雰囲気そのままだけど色気たっぷりで綺麗な彼…どうして…ここに?…
「垓くん全く俺に気が付かないまま一人で百面相してて可愛かったよ」
ふふふっと昔と変わらない笑顔で史澗くんが僕を見つめた
「何でここに?」
「穣くんが那由多くんから連絡があったって教えてくれたよ」
きっと目の前で倒れた俺をどうしようかと焦って友里亜くんが恋人である那由多くんに連絡したのだろう。その後病院に運ばれるまでのことは那由多くんが全てやってくれたと聞いていた。
史澗くんも穣くんも随分と前に遠くにいってしまったはずだったのに…またこうして僕のことを思い側に寄り添おうとしてくれているんだ。
もう…だめだな…自分の思いを…知らない振りしてた思いを認めるしかないな…
…僕が一番近くに千里くんを置いた意味…酔ったふりして千里くんに何度もキスした意味…それは全部…
史澗くんのこと…忘れられなかったんだ…京華への裏切り…それを認めるのが嫌だった…たけど…自分で史澗くんと向き合うことから逃げ出して自ら会えないようにしたくせに会えなくなったから想いは膨れ上がって…
あぁ…もう…僕は…あなたのことが好きです
ともだちにシェアしよう!

