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気持ちがもう一度交わって時がたった。
あの時の手術は無事終わり仕事復帰も果たした
それと同時に万里が向こうへ戻った。
万里が戻った後千里くんが支配人となる事が決まっていたあのホテルは無事千里くんに引き継がれ万里は向こうで残した仕事をするために戻ったのだ。
友里亜さんは日本に残り万里は一人で戻っていった。
友里亜さんと那由多くんは程なくして結婚した。
千里くんと万里は…結局こちらにいる間によりを戻す事はできなかった
肝心な時に万里は臆病になったようだった。千里くんはあの頃奥さんと離婚して間もない。だから気の迷いだと思ってしまったのだ。
時間をおいて互いに思いが消えなければその時は…そう言って旅立った万里。その後は二人とも忙しくなり連絡を取り合うことさえしなくなった。
千里くんは今も万里を思い続けている。そんな姿を横目に僕は…やはり僕を優先した。どこまでも勝手だとは思うけどもう…譲れなかった
「がーいくん」
「ん?」
「…また万里くんと千里に申し訳ないとか思ってる?エッチしてるのに?」
まだ入ったままの史澗くんが腰を動かした
「あっ…」
「…うん。可愛いね。歳を重ねてお互いもう爺さんって呼ばれる年に近づいてきたけど垓くんは可愛いまんまだねぇ」
「可愛くないし…加齢臭が気になるおっさんだもん。」
「ふはっ!そんなの気になってんの?全然わかんないけど?俺のほうが年上だし俺の方が加齢臭するってことかぁ!」
「違う!史澗くんはいつもいいにおいするもん」
「あはっ!まぁどんなになっても俺は垓くんを愛してるけどねぇ」
退院と同時に籍を入れた僕たちは仕事が落ち着いた頃一緒に住むことになった。
「まぁもうすぐ引退するんだもんねぇ。まだまだやれるのに」
「暫くは北川をサポートしながら一緒に仕事するんだけどねぇ。僕が史澗くんとずーっと、一緒に同じ空間にいたいんだもん。史澗くんのお仕事の邪魔はしないから安心してね」
史澗くんは今は家で仕事をしている。だからいつも2人一緒。
あの頃果たしたかった願いが妻への裏切りと、子供たちを犠牲にして叶ってしまったのだ
「ねぇ。史澗くん」
「ん?」
「僕はいつか…大きな罰を受けるね」
「…」
「だって…妻を裏切った…そして自分のために子供たちの仲を引き裂いた。万里には辛く当たってばかりで愛情をかけなかった」
「…うーん…まぁその時は俺も一緒に罰を受けるよ。俺も同じだから。どうしても…垓くんを忘れられなかったし今こうして俺のところに縛り付けてるんだから…でもね、垓くん。これまでのこと全て無意味なことなんてないんだと思うよ。これまで起こったこと、俺たちが…選んできた道…どれもその時は必要なことだった。ときには間違ったのかもしれない。あの時こうしていればこうだったかも。なんてもうどうもでできないことを考えるよりこれから起こることにどう向き合うかだと思うよ。俺たちができることなんてたかが知れてる。だけど後悔しない選択をしていこうね」
「ん…」
「あぁ。また泣いちゃう?こればかりは…俺だって予想外だったけどさ…」
万里が向こうに渡ってしばらく…衝撃的なことが起こってしまったのだ…
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