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「垓くーん。万里くん」 史澗くんが電話を代わってくれた。 「はぁい。もしもし」 「親父」 「ん。万里。どした?」 「せんちゃんと結婚したい」 てっきりお付き合いを始めたっていう話かと思ったらそれを飛び越えて結婚の許しを請うなんて。さっきまでお付き合い許してくださいって言ったばかりなのに飛び越えすぎでしょ?まぁ僕の子っぽいけど 「…そう。キャロルさんは大丈夫なの?」 知ってるけど一応…ね? 「うん。あの人も他の人と結婚決まったみたいだよ」 「そうなの?」  それも史澗くんに聞いて知ってた。同じところで働く医師と結婚するらしい。けどその人は医者としてはとても有能だし素晴らしい人なんだけどプライベートは色々ある人間だった。彼に捕まってしまったらもう逃れられないだろう。まぁそんなこと知ったこっちゃないけど 「うん」 「だから千里くんを選んだとかじゃない?寂しいからとか」 本当に万里の意思なのか。わかっているけど聞きたくなった。 「それは絶対にない。彼女には悪いけど彼女といてもいつもせんちゃんのことばかり考えてた。俺の中でせんちゃんは特別な人だった。だから親父、俺たちを認めて」 力強くいう万里に嬉しくなった。きっとあっちに千里くんが行った瞬間から特別だったんだろう。だって記憶をなくしたとはいえ千里くんをずっとずっと深く愛していたのだから 「…わかった。千里くんを泣かせたら承知しないよ」 「…史澗さんと同じこといってる」 「それだけ俺たちにとって千里くんも万里も大切だからだよ。万里。お前は覚えていないかもしれない。でもね、沢山沢山千里くんは待ったんだ。お前のところに行ったのもお前を側で見ていたかったから。好きだからこそ幸せになって欲しかったから。その決意がどれだけのものかお前にはわかるかな?俺はお前の父親でもあるが千里くんの父親でもあるんだ。大切な子供たちの幸せを願わないわけない。大切な子供たちが傷つく姿はもう見たくない。だから…命を懸けて千里くんを愛し抜くんだ。いいね」 「はい。今度二人で会いに行くから」 「うん。待ってるね。千里くんは」 「うん。せんちゃん」 電話口の千里くんはとても幸せそうだった。 「もしもし。お久しぶりです。垓さん」 「本当に万里でいいの?」 「垓さんが一番知っているでしょ?俺がどれだけ万里を思っていたか。だから俺昨日告白されて本当に嬉しかったんです…もう…我慢したくないんです…二度と離したくない…だから…俺は万里と生きていきたいです。全く不安がないと言えば嘘になりますけどでももう俺は遠回りしたくない」 「うん。わかった。何かあったら言うんだよ。君はしっかりしすぎてる。確かに大人になったけど俺たちにとってはずっと大切な宝物で子供なんだから。長く生きている分何か君たちのためになることもあるかもしれない。だから頼ってほしい。お願いね」 史澗くんだけじゃなく僕のことも頼って?一人でずっと頑張ってきたんだ。弱みを見せてくれたら嬉しいんだ。 「はい。ありがとうございます」 「いつ帰国する?君たちに会いたいな」 2人で並んで幸せそうに笑っている姿が見たいよ… 「万里が日程を調整してくれるのでまたご連絡しても良いですか?」 「待ってるよ。じゃあ仲良くね」 そっと電話を切ると史澗くんが抱き締めてくれる ねぇ。万里、千里くん。今度は君たちが幸せになる番だよ。 遠回りさせたのは外でもない僕だから…勝手だって言われてしまうだろうけれど…本当にごめんね。だけど…本当に君たちのことを愛しているんだよ。 一緒に…幸せになろうね。 電話も終わって向かい合うと互いに貪るようなキスをする 「垓くん。愛してるよ」 「僕も…史澗くん…愛してる…」 きっと僕は君に何度だって恋をする。生まれ変わっても君を。 あぁ…もう…本当に…本当に…愛してる…どうしようもなく…君のことを fin.

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