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第20話

番の発情期とは、本当に好いものだね。 日榊君のΩフェロモンも蕩けた表情も熱く濡れる蜜壺も、本当に素晴らしいものだった。 アラ環にして、漸く童貞を卒業する事が出来た。 もう思い遺すことは何も無い。 なんて事は全然、全く無い、これっぽっちも無い。 私は日榊君に私との子供を、一日も早く産んで欲しい。 彼と私の子供は間違いなく可愛い。 そして、アラ環の私には現実的に考えて時間が足りないのだよ。 私が天寿を全うしたとして、今回の発情期で出来る子が私の子だとしても、成人を迎えるまで私が生きていられるかどうかが問題だ。 それを含めての4人で番う事を提案したのもある。 エリックの条件だけは特殊みたいだね。 撫子さんと日榊君と一緒に夕食を囲みながら、日榊君の話を聞いている。 何か理由があるのだろうけど、それは個人の自由だから聞きはしない。 日榊君が納得しているのだからね。 私達は今後、日榊君の御自宅に住む事になった。 発情期を過ごした、あの別棟で新婚生活をスタートする。 あの棟は丸ごと日榊君の居室として建てられたのだそうだ。 彼のお兄さんの身体的な事が理由だと詳しくではないが説明してくれた。 ご両親とも関係は良好で、早く孫の顔を見せてあげたいとにこりと笑った。 鋭い目付きが壮行を崩して目尻が下がり、どことなく幼い表情に変わるのが、堪らなく愛しい。 次の休みに、まずは撫子さんが日榊君のところへ引っ越し皆で荷解きをして、その次の休みに私が日榊君のところへ引越す事で話をまとめて、日榊君を自宅へと送り届けた。 お休みのキスが上から降ってくるのは中々新鮮だ。 イタズラに舌を差込み、チュッと音を立てて離れる。 真っ赤な顔をして俯いているが、日榊君、君は私達よりずっと背が高い。 恥ずかしがる表情も丸見えだよ。 このまま君の部屋に雪崩れ込んで、トロトロに溶かしてしまいたくなる。 私が邪な想いに囚われかけていれば、撫子さんに場所を奪われ、日榊君と熱い口付けを交わしている。 日榊君等と別れ、車内でこれからの生活と新婚旅行に想いを馳せる。 新婚と言えば、旅行だろう。 海外で過ごすか国内で過ごすか。 日榊君はどこに行きたいだろうか。 私は日榊君とゆっくりと過ごせるならば、どこでも構わない。 これからの生活と言えば、エリックの事だ。 彼は彼自身の子供を得たら、日榊君のハーレムから抜ける可能性もある。 エリックはそれでも構わないかもしれないが、日榊君の発情期は私が彼を抱けなくなってしまうと、撫子さん1人では乗り越えられないだろう。 もう1人、日榊君に見合った優秀なαが必要になってくるのは間違いない。 国内に私達と同等のαは居ない、国外に出るか。 国外ならば何人か心当たりはあるが、日榊君の傍に居てくれる人間でなければならない。 私達のようなαは番不足になってしまっているのだから、番いたい者は居るだろうが、日榊君だけでなく私達とも協力し合えるタイプの者が幾人居るものか。 独占出来やしないΩをそれでも独占したがるαが多いのが現状だろう。 Ωを所有物のように扱う文化圏の者は却下だ。 私達のように番になれない事に悩んでいても、いざ相手が見つかれば全力で独占したがる者に任せる事は出来ない。 私はΩを対等、もしくは対等以上に扱う文化圏のαで身軽な者を調べる。 α血統を重んじる家系は強いαが居ても、『α狂い』遺伝子が発現している場合もある。 その場合は日榊君と番う可能性は皆無だ。 αとΩ、どちらも居る家系が望ましい。 そこまで考えると、割と絞られてくるのだが、候補が私と年齢が似ていたり、幼過ぎたりと日榊君と番うのが難しい。 撫子さんにも心当たりが無いだろうか。 日榊君逆ハーレム計画を支える屋台骨、島津久彬59歳。

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