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27DAY
まだ空は暗いけど、雨はやんでいる。
今朝はガルムさんが起きてきたので、のんびりとブラッシングしながら、昨日聞いたアウルの目の真相について聞いた。
「・・・って聞いたんですけど、本当ですか?」
「アア、間違イナイ」
「・・・そぉ、ですか・・・」
「納得イカナイノカ?」
「納得いかない、というか・・・その・・・」
納得もなにも、俄 には信じられなかった。
そしてショックだった。
アウルの失明の原因が、僕を探すために使った魔法のせいだったなんて。
「ソモソモ、目ガ見エテナイノニ、イキナリオ前ニ声ヲカケテキタ時点デ怪シムベキダッタナ」
「ぁ、怪しむって・・・それは・・・声を、かけてもらえたのは・・・嬉しかったので・・・」
あの時、僕が初めてアウルと会った時、アウルは僕の事を知ってたんだ。
本当は、僕が覚えていなかっただけで、初対面じゃなかった。
アウルは、僕が15歳で家を出る事も知っていて、僕を雇う・・・というか引き取るつもりで、僕を探していたらしい。
その時の人探しの魔法が失敗した結果、彼は失明してしまったんだ・・・。
僕なんかのために、大事な目を傷付ける事になったなんて・・・。
「しあんハ雇ワレタンジャナクテ、捕マッタンダ」
「そ、そんなことは・・・」
「ガルム、人聞きの悪い言い方しないでくれる?」
ソファに座ってのんびりお茶を飲みながら、僕とガルムさんの会話を聞いていたアウルが反論した。
大丈夫です、僕だって捕まったなんて思ってませんから。
アウルはそんな人じゃないってわかってるし・・・そもそも僕なんか捕まえても何も得しないし・・・。
「目ヲ見エナクシタノハ、オ人ヨシナしあんヲ捕マエルタメノ餌ダッタンダロ。ツマリ罠ダナ」
「わ、わな・・・」
「そんなんじゃないよ。シアンを誘致するための準備中に起こったちょっとしたハプニングだよ」
ハプニングって・・・失明はちょっとしたハプニングで済ませられないのでは・・・。
昨日の話ぶりからしても、アウルとしては本気で失明を軽い失敗程度にしか考えてないみたいだけど、誘致目的にしろ罠にしろ、僕なんかのためにアウルが失明したなんて・・・。
「どう償えば・・・」
「シアンは何も悪くないよ。君が家を出る前に迎えに行くつもりだったのに、仕事で遅れてしまって・・・挙句君の行方がわからなくなって動揺してしまってね、失敗したんだ」
アウルが照れたように笑う。
笑い事じゃないのでは・・・。
「見テテ面白イクライ焦ッテタナ」
「バラさないでくれるかな」
魔法を失敗する程焦るアウル・・・ちょっと見てみたい・・・。
思わず微笑ましい光景を想像してしまい、楽しそうに言い合いをするアウルとガルムさんにもつられ・・・。
笑い事じゃないってわかってるのに、我慢できずに笑ってしまった。
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