56 / 129
第56話
「僕、英語と算数が習いたい!」
「分かった、それなら今度、休みを取るから一緒に行ってみよう」
父は優しく笑って頷く。
「ありがとう、お父さん!」
嬉しくて自然と笑顔が零れる。
父と暮らせる今がとても幸せな由里…
少々いじめられても…優しい父親さえ居てくれたら…
他に何もいらなかった…
そして、由里は学校から帰ったら塾へ行くことが習慣になった。
家からすぐのバス停から停留所ふたつ越したところにある塾へ、平日は通っている。
ある日、いつものように塾を終え、停留所で帰りのバスを待っている由里…
周りには数人塾帰りの子どもがいるが…知らない子ばかりなので話したことはない。
時刻は19時過ぎ…
温和しく後ろの方でバスを待っていると…
「こんばんは、大分涼しくなったね」
なにやらいきなり馴れ馴れしく話し掛けてくる青年…
ともだちにシェアしよう!