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第65話
『もうすぐ私もお母さんになれる。不思議な気持ち…少しでも長くこの子と一緒に居られたら…私たちの大切なたからもの、愛してるよ由里』
「……」
「お父さん…」
ふと、顔を上げてみると、父の瞳からは涙が流れていた。
「すまない…、…母さんのことはとても愛していた…けれど母さんが残してくれたお前のことも本当に大切で、愛しているから…」
父は苦笑いし、涙を拭って…
優しくヨシヤスに語りかける。
「お父さん…ありがとう」
そんな父の姿をみると…心がきゅっとして、ヨシヤスの瞳にも涙が浮かび…こぼれ落ちる。
「あぁ、母さんの分まで…生きてくれ、ヨシヤス」
「うん…」
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