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第64話
そこに書かれた繊細な字…
『今日はすごくお腹をけって大暴れ、女の子なのにおてんばすぎかな?健康な子でよかった。早く会いたいな…』
「母さんは生まれるまでお前のことを女の子だと思っていたから…」
そう付け足す父。
「生まれたとき男の子でびっくりして、でも母さんがヨシヤスって呼んだから…お前の名前はヨシヤスになったんだ」
「母さんが呼んでくれたの?」
「あぁ…」
「お母さん…」
そっと写真に映る、母親を見て…呼んでしまう。
「ヨシヤス、お前は産まれてきてよかったんだよ」
優しく頭を撫でて…
「母さんと、俺との大切な、たからものだから…」
そっとページを進め、書かれた文字に指を添える父。
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