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第71話

そして数時間後… 由里はいつのまにか泣き疲れて眠ってしまっていた…気がつくと辺りが明るくなっていた。 驚いて起き上がる。 「……」 昨日の受付の人もいなくなっている。 「お父さん…?」 とにかく父のことが心配で… 昨日の運ばれた処置室の方へ様子を見に行こうとする。 「あ、目が覚めた?お父さんならこっちよ…」 昨日の人とは別の看護師さんが声をかけてくる。 「うん…」 言われた通りついていく由里。 案内された病室… 待ちきれず走って中へ入っていく。 「お父さん!」 ベッド上に横になっている父。 「…!ヨシヤス、悪かったな、心配かけて…父さんは大丈夫だから」 ゆっくり起き上がる。 「…お父さんっぅう…」 嬉しさと安堵感で涙が溢れてきて…父に縋り付く… 父は片腕に点滴を繋いでいて顔色はあまりよくない様子だが、笑っている顔が穏やかだったので…どこも痛くないんだ、と安心する由里。

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