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第70話

由里は薄暗い病院の廊下へ取り残される。 「お父さん…っ」 心配で心配で…胸がはち切れそうな由里。 「大丈夫…こっちへいらっしゃい」 優しく救急外来受付の女の人が由里を待合室に連れて行ってくれる。 「誰かお家の人はいないの?」 「いない…お父さんと、僕だけ…。お父さん、死んじゃう?やだよ…お父さんっ」 また涙が溢れてくる。 「大丈夫よ…こんな可愛い子残して死ぬわけないでしょ、だから安心して、もう遅いから休まないと…お家に帰る?」 まず安心させるためにそう伝えてくる。 「……」 首を横に振って嫌がる。 お父さんが帰ってこない家にいても仕方ない… お父さんが心配で…ここから離れたくない… 「じゃ、ここにお布団持ってくるから…少し休みましょう、お父さんが良くなったら会いに行こうね」 優しくなだめる女の人。 「うん…」 言われるまま横になる。 しかし父のことが心配で、思い出すと涙が溢れてくる…布団をかぶり、涙を拭う。

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