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第75話
「急いでお父さんが大変なんだ…」
「えっ!お父さんが!?」
その言葉にすぐ反応する。
「早く、こっちへ病院へ送ってあげるから…」
そう急かす男…
「う、うん…」
お父さんに何かあった!?
そのことで頭がいっぱいで、見知らぬ人物を怪しむことすら忘れて、言われるまま車に乗り込む由里。
「お父さんがどうしたの!?」
「……お父さん?心配?」
「自分の心配したほうがいいかもな…」
「…え、っ」
グイッと由里の座っている助手席の背を倒して、後部座席へ由里を引きずり込む男。
「こんなに簡単に騙されるなんて、拍子抜け、そうとう『お父さん』が大事なんだな…」
由里を抱き込み行動を制限しながら笑う。
「なっえ…騙す…?嘘?お父さんは?」
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