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 ◇  散々な目にあった。  ご褒美だと言ったくせに、もうやめてくれと泣いて止めるまで俺の尻は馨の指と舌で解された。漸くそれから解放されたかと思えば、それ以上の質量が俺の中に攻め入ってきた。  オマケに俺の硬い躰を容赦なくいろんな角度に曲げてくれて、挙句にはバックで奥を突き上げながら、両腕を後ろに引っ張るなんて拷問まで受けて…俺は子供みたいに泣き叫んだ。  何度も中でイった馨は、六度目で漸く『ゴムがもうない』と言って出ていった。  ぐちゃぐちゃになった俺の尻は、馨が出ていった今でも何か入っている気がしてならない。そもそも、そこが開きっぱなしなような気がする。  尻の皮膚はヒリヒリと痛んで、起き上がりたいのに起き上がれない。俺は失った〝何か〟に酷く心が寂しくなって、馨のベッドの上でずっとすすり泣いていた。   「なんだ裕典、まだ泣いてんのか」  シャワーから出てきた馨が、まだ鼻をすすって泣いている俺を見て笑う。 「ひっ…う…うぅ、ひでぇよ馨…」  だってアレは、そもそも美香が誘ってきたんであって。俺は別に自分から誘ったわけでもなくて、大体それだって、馨が美香を蔑ろにするから起きたことであって。 「いつもなら、女が浮気したってなんにもしねぇくせに!」  キッ、と睨みつけると、それを見た馨がベッドの端に腰掛けた。そうして、まるで駄々をこねる子供をあやすように俺の髪を撫でる。 「確かに俺はお前に酷いことをした。でも、その前に俺を裏切ったのはお前だろう、裕典」 「うっ、」 「まさかお前が、俺の部屋で女を抱こうとするとはなぁ」 「そ、それは…ほんとにその…」  口篭りながら、ふと疑問が頭を過る。  美香に手を出したことを怒ってるんじゃ…ないのか? え、場所の問題なの?? じゃあ〝裏切った〟ってなにを??? だがそんな疑問も、馨から放たれた言葉に直ぐに吹き飛ばされた。 「裏切った裕典には、もう金も渡せないなぁ…あぁ、来月はナツミの誕生日だったか」 「あっ!!」  俺は痛む尻の存在も忘れて起き上がった。 「ヤダヤダヤダ! ナツミちゃんのお誕生日会行きたい!」 「でも、プレゼントも持たずに行けないだろう? ボトルだって入れてやれない。そんなんでお前、店になんて行けるのか?」 「かおるぅぅうう!!」  髪をなで続けていた馨に抱きついた。 「ダメダメお願い許して馨っ、おれ、なんでもするからー!」  撫でる手を止めて、ジッと馨が俺を見つめる。 「じゃあ、ナツミの誕生日までの間、毎日俺に抱かれるか?」 「え!?」 「もしその覚悟があるのなら、飲み代も、プレゼント代も出してやる」  俺はうっ、と唸って少しだけ考えてみるが、だけどやっぱりナツミちゃんの誕生日会には行きたいのだ。  欲しいと強請られているプレゼントを買って、他の客よりも長く席についてもらって、あの豊満なバストをギュッと、腕に押し付けてもらいたい! 「やるっ!」  覚悟を決めて返事をすれば、馨は自分で言い出したくせに少し驚いた顔をして、 「お前は本当に馬鹿で…可愛いよ、裕典」  そう言って珍しく声をあげて笑って、俺の唇に噛み付いた。  そうして俺が尻を叩かれては勃起させ、自ら馨に尻を突き出し『挿れてくれよぉ』と泣いて強請るようになるのは……なんとこれから一ヶ月後にあるナツミの誕生日より、もっとずっと早かった。 END

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