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第2話

 翌朝。いつものように高杉が部屋を出たところには暁が満面の笑みでお出迎え。 「おはよーございます!今日も頑張って下さいね!」 「貴方に言われなくても頑張りますよ」  またもスッパリ話題を切り、高杉は暁を置いてどんどん歩いて行く。  今日からは裏口で座り込み。業務妨害にならないために。 (早く仕事終わんねーかなー。早く話してえ)    ようやく日も暮れ、そろそろ高杉が出て来てもいい頃だが、一向に高杉は姿を現さない。それどころか、違う人が施錠している。もう中には人が残っていないということか? 「あれ?高杉さんは…」  思いきって聞いてみると、施錠している店員は親切に答えてくれた。 「店長なら少し前に表から帰りましたよ。なんでも本社に寄ってから自宅…」  最後まで聞かずに暁は走り出していた。  日頃の疲れが蓄積し、珍しくその夜高杉は仕事を自宅に持ち帰る羽目に。  いつもの鬱陶しそうな顔で部屋の前に着くと少し離れたところに暁が膝を抱えて座り込んでいた。  高杉はちらりと暁を見やると、そのまま部屋のカギを開け、そして中に入り、鍵をかけた。  暁は慌ててドアの前に駆け寄り、ドアをばんばんと叩きながら大声で叫ぶ。「開けて下さい高杉さぁん!中入れて下さいよ!たーかーすーぎーさぁん‼」  突如、ドアが勢い良く開き、暁の額を直撃した。 「帰れ」 「やだ」 「帰れ!」 「やだ!」  数分後。 「へぇえ、こんな部屋に住んでるんだぁ」  きょろきょろとあたりを眺め回す暁。高杉はと言うと、暁の存在をまるで無視して冷蔵庫を漁る。 「あ、飯ですか?俺もちょーどハラ減ってんですよー」  勝手にソファに腰掛け、上機嫌で声をかける暁。だがしかし。 高杉は手早く一人前の食事を調理し、暁の向かいに陣取って黙々と食べ始めた。 「高杉さん、腹減った!」  あーん、と口をあけて見せる。高杉はニヤッと笑って 「欲しかったのか?」  と小首を傾げ、右手に持っているパスタの絡みついたフォークを掲げる。 「そんなこと早く言えばいいのに」  にっこり笑いながらフォークを暁の口に運ぶ。嬉しさで信じられない暁…… 「いっ——」  口の中のフォークを思いきり横へスライドさせた。口の中が切れ、咥内に鉄臭さが広がる。 「なんで勝手に上がりこんできた貴方に食事まで出さなきゃいけないんですか」  冷静に言い放つ高杉の頬を、血のついた両手でや優しく挟む。 「それでも好きですよ」 「俺は嫌いだよ」  間髪入れずに返ってくる無情な返事などお構いなしに、暁は次の瞬間高杉の唇を奪うという暴挙に出た。

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