51 / 100
打開 1 浩side
「はぁ…。」
家に帰るなりすぐさまベッドに体を沈ませる。寝室は和が行方不明になった日のままの状態だ。点滴もそのままで、毎日替えていたシーツもその日のままだった。
和──。
しばらくの間、シーツに埋めていた顔を、さっと持ち上げ、両頬を叩く。
ダメだと思う。
俺がこんなでは。
とにかく、今は和を助けること優先だ。思い悩んでいるだけでは、何も進まない。明日からの調査に万全の体制で臨めるよう、適当な睡眠薬を飲んで、眠りについた。
ピピピピッ───……
ああ、朝か…。
目覚ましの音で起きるのは久しぶりかもしれない。今までほとんど眠れなかったが、昨日飲んだ睡眠薬のおかげで、幾分かマシになった気がする。俺は素早く服を着替え、アジトである屋敷に向かおうとして。玄関で靴を履いている時、目の前の郵便受けに、真っ黒な封筒が入っているのが見えた。
何だ…?
手にとってみると、宛先や送り主の住所も書いていない。直ぐに中身を確認する。
「DVD……?」
そこには、1枚だけディスクが入っていて、ケースの裏には、菅井浩へ、という印刷された紙だけ貼ってあった。それだけの手掛かりでも、直ぐに勘づく。
俺は足早に屋敷に向かった。
「DVDか?」
屋敷に着くなり、すぐに報告する。
連絡を入れていた為、開生を含めほぼ全員が集合していた。
「送り主は書いてませんが、内田からのものだと思います。」
「よし、すぐに確認しよう。」
大きめのスクリーンに動画が再生される。動画は4箇所から撮影されたものだった。画割が施されており鮮明に見える。その中に見つける人影?
「和っ…。」
大きなダブルベッドに横たわる姿。何か月ぶりに見ただろうか。元から細かったのに、更に痩せていた。体調が良くてもあまり食事をしなかった和。内田のやつ、ちゃんと食事を与えているのだろうか。そもそも、あいつに和の体調管理が出来るわけがない。
俺がいないと和はダメなはずなんだ…。俺じゃなきゃ…。
「一度止めろ、大丈夫か?」
ボスの声で、俺は我に返る。
そして周りを見ると皆んなが心配そうな顔でこちらを見ていた。
「いえ、大丈夫です。見た限り、和は行方不明になった時よりも痩せています。健康状態もですが、精神状態もどうなっているか心配になってしまって…この動画を見て分かる事もあると思うので、続けて再生して下さい。」
「よし、分かった。」
俺の言葉にボスは頷いた。
ともだちにシェアしよう!