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打開 2 浩side
覚悟はしていたものの、動画は冷静に見ていられる様なものではなかった。自分の恋人と、醜い男が生々しく交じり合う姿に、俺の腹の底はふつふつと煮えていく。少し落ち着かせようと、画面から目を逸らし、息を吐いたその時、聞こえてきた懐かしい声に耳を疑った。
『う、ちださん…すき、です…』
はっと画面を見る。目が離せなかった。
和の口からまだ聞いた事のなかった言葉。
好き───。
鈍器で殴られた様に脳がズキズキと痛んだ。そして、画面越しに内田と目が合う。ふ、と弧を描いたヤツの唇は、恋人と深く重なり合った。
「…っあいつ、ぶっ殺してやる…!」
俺が立ち上がると同時に隣に居た陸が止めに入る。鬱陶しい…。
「どけ。」
「やだね。それにどこに行くつもり?まだ場所分かってないじゃん。一旦落ち着いて。」
苛ついたものの、確かに居場所は分かっておらず、陸の言う通りその場に座り直す。
「浩、難しいだろうが、冷静になると見えてくるものもあるぞ。」
ボスが俺にそう言う。
「ボスも気付きましたか?」
「ああ。」
陸とボスは何か確信を得たという様に、頷き合っていた。残念ながらまだ冷静になりきれない俺には分からない。
「嫌だろうけど、よく画面を観て。和くんの手首、足首、あと首にも、拘束された痕がある。」
そう言われ観てみると、白い肌から浮き上がるように鬱血した痕があった。
「後は、全体的に、和くんの様子がおかしい。これは浩が1番分かるはずだよ。目もずっとぼんやりしてるし、話し方も舌ったらずって感じじゃない?」
和は男娼をしてきたせいもあり、快楽には強い方だった。感じはするが、最中にトんでしまったりする事は無かったのだ。しかし、この映像を観ると完全に意識は朦朧としている感じで、幼児退行しているようにも見える。
「これはあくまで推測だけど、内田は和くんを拘束して自由を奪った上に、何らかの圧力をかけて洗脳してる可能性も高い。」
「どうだ?浩、お前の意見も聞きたい。」
陸の推測に、ボスが俺に尋ねる。
「俺は…そうですね、陸の推測、あながち間違っていないかと。和は精神的に弱い。あの子は周りの人間がどんな人であろうと、傷付くのを極端に嫌う。自分を犠牲にしても、相手の思い通りになろうとするんです。そうする事で、自分の存在を肯定していた。その事を利用して、内田が何か吹き込んでいたら、和は確かに洗脳されている可能性は高いと思います。」
逆にそう思いたい。洗脳されて、内田の事を好きだと思わされていると。
それならば、和を助け出した後、ゆっくり洗脳は解いていってあげればいい。
俺は精神科医だから、そのくらいどんな手を使ってもしてやる。
早く俺の手元に戻したい。
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