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打開 3 浩side

「犠牲はあったけど、これで有力な情報が得られた。このDVD、位置情報が組み込まれてるはず。素人、それに俺が接触してすぐにこれを撮って浩の元に届けたとすると、位置情報を消すまでの思考に至らなかったはず。ボス、すぐに情報部の方に解析のご命令を。」 陸は、額の前で、拳と手のひらを合わせる。その姿を見ながら、俺は前回の陸の報告を思い出していた。ボスは実に情報部への伝達を託け、筆を置く。 「その洗脳とやらに、暴力が存在するなら、最悪の事態も考えて早急に手を打たねばならんな。」 作戦も考え直していこう、と呟くボスに陸は付け足した。 「言い切れませんが、暴力の可能性は低いかと。鮮明な動画でした。拘束の痕も見えました。しかし、打撲などの殴られた様な痕は特に…可能性が高いのは、恐らく性的な暴力でしょう。以前、浩から聞いた話でも、和くんは、精神的に不安定な時に性行為を求める事があったそうです。」 「そこに付け込んで、内田は和くんを堕とした…か。」 「ええ、それに、俺が内田と接触したBARですが、内田はそこの常連でした。裏のルートから調べた結果、法違反の特殊で強力な媚薬などの販売も極秘に行われているそうです。麻薬のように意識を崩壊させる程度のものも商品としてピックアップされていました。購入者リストは発見出来なかったものの、あの時、内田はただ酒を呑みに来たわけではなさそうでした。」 俺は、そこまでつらつらと考えを述べる陸の胸ぐらを掴んだ。急な事に周りは、しん、と静まり返る。当の本人の陸だけは驚いていなかった。驚くかわりに嫌そうに眉間に皺を寄せる。 「ちょっと、なに…。」 「わざとか…?」 俺の問いかけに陸は、「何がだよ」と答える。その言葉さえも、今の俺には挑発のように聞こえた。 「てめぇ、カマをかけたとか言ってたよな?」 「うん、言ったよ。実際に内田はこのDVDをこっちに寄こしてきた。居場所が分かるかもしれない大きなヒントが得られたじゃん。何がそんなに不満なわけ?」 手、離してよ。 そう面倒臭そうに言うコイツの意思を他所に、俺は更に胸ぐらを掴む手に力を入れた。 「じゃあ、動画の状況にさせたのはお前ってことだよな?和に危険が及ぶかもしれないってのは、分かってやったんじゃないだろうな?」 「それは充分わかってたよ。」 「てめぇ…!!」 平然と答えるそれに、殴ろうとするが、ひょいっとかわされる。 しかし、直ぐにまた、今度は両手で胸ぐらを掴んでやった。 「別のやり方もあっただろうが‼︎下手に接触するよりも、尾行した方が、居場所くらい分かったんじゃねえのかよ!!それをお前、和がこんな事になるの分かって、面白がってやってるんじゃねえだろうな!?…………っ!!」 一瞬何が起こったのか理解出来なかった。怒りを爆発させて、次にやってきたのは、頬を伝う何か。触ると指は赤く濡れていて。 「ガッカリだよ。そこまで浩がバカだったとはね。」 向けられた小型ナイフにも赤が付いている。恐らく俺のものだろう。 そして陸はナイフのように尖った言葉を俺に突きつけた。 「それはただのエゴだ。」

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