113 / 149

3-20 まどろみと夢

布団を剥がしベッドから飛び降りると、足元に脱ぎ捨てられたシャツが転がっていて思わず拾い上げる。 袖野のものだった。 胸のあたりに赤い血が付いていて、ミナミはさっと青ざめる。 「え...?え?」 思わず床に崩れ落ち、あたりを手のひらでペタペタと触って彼を探した。 溶けてしまった? 灰になってしまったのかもしれない。 オレのせいだ! とミナミは絶望して、彼のシャツを抱きしめながら泣いた。 「ううぅ.....ほくとさん....なんで」 彼のシャツについた血を見下ろしぞわぞわと震える。 自分が嫌いだなんて言ったから、爆発したか 蒸発してしまったのかもしれない。 なんてとんでも無いことをしてしまったんだろう、 と後悔の念に押し潰されそうになっていると ガチャリと目の前のドアが開いて、バスローブ姿の袖野が立っていた。 彼は思わず顔を上げたミナミのひどい泣き顔を見て、慌てている。 「ど、どうしたんや!?どっか痛い!?」 こちらに駆け寄って来られ、ミナミは泣きながら彼に抱きついた。 「よがっだぁぁぁ....蒸発したかと...思ったぁぁ」 「はぁ?するわけないやろアホか!」 「だって...っ!血が....!」 「それはキミの鼻血です」 袖野はいつものようにおかしそうに笑いながらツッコミを入れてくる。 ミナミはひどく安心しながらも彼にぎゅううっと抱きつく。 「もー。泣かんの。」 「うん....」 彼は優しく頭を撫でてくれて、ミナミは必死に泣き止む努力をした。 すでに泣き腫らした目に涙が染みてちょっと痛かった。

ともだちにシェアしよう!