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第1話 12月24日(月)20時12分 駅前広場

 街が一段と輝きを増す夜。  行き交う人びとは白い息を吐きながらも楽しげに微笑み、身を寄せ合う。広場の中央に立つ大きなツリーは色とりどりのオブジェを身にまとい、イルミネーションの光をきらきらと放ちながら人びとを見下ろしている。 「おかあさん、見て! すごくきれい!」  少女は母親の手を引き、ツリーへと駆け寄った。背伸びをして、自分の背よりも少し高い位置に飾られたサンタのマスコットへと手を伸ばし――ぴたりと止まる。  シャン、シャン―― 「ねえ、おかあさん。鈴の音がきこえる!」 「あら、そう? お母さんには聴こえないけど……」  シャン、シャン、シャン―― 「もしかして、サンタさんの鈴の音かなぁ?」 「そうかもしれないわね。今日はたくさんの子どもたちにプレゼントを配らないといけないもの」 「そっかぁ。わたしのところにも来てくれるかな?」 「良い子にしていたなら、きっとね」 「ほんとう? でも、なんだか……」 シャン、シャン、シャンシャンシャンシャンシャン! 「サンタさん、ものすごく急いでいるみたいだけど」

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