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君の隣にいるのは(赤嶺×黒滝)
君の隣にいるのは
クロちゃんは自分で気づいていないだけで女の子に人気がある。
話した女の子の中にもクロちゃんに紹介して欲しい、と言う女の子が複数いる。
俺に対して冷たく、ひどい扱いをするのに女の子には優しいというギャップに惹かれるんだとか。
まあこの俺がクロちゃんに女の子を紹介するわけがないけど。
「赤嶺」
いつの間にか立ちどまっていたみたいだ。
制服姿の帰り道、先を歩いていたクロちゃんが振り向き俺の名前を呼んでいた。
「どうした?」
離れることもなく近づくこともなく、その場から動くことなく俺の返事を待ってくれる彼が愛しい。
湧き上がるこの感情、女の子なんかに負ける気がしない。
「んーん、やっぱクロちゃんが好きだなーって再確認してた」
「……いきなりなんだよ」
機嫌悪そうに眉間にしわを寄せ、前方へ顔を戻した彼の耳が赤くなっていることに気づいた俺はようやく歩みを進め、足音が聞こえたらしく再び振り向こうとした彼の背中に抱きついた。
「クロちゃん、ラブ! 愛してる!」
「あーもう、はいはい。俺も愛してる」
まるで俺を引きずるように歩き出した彼の口から放たれた棒読みの言葉に、浮かぶ笑みを抑えることができない。
ああもう、やっぱり大好きだ。
女の子を紹介できないのも仕方ない。
クロちゃんの隣にいるのはまだ、俺だけいい。
(終)
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