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やめろ、と。何度目かの叫びは額に汗を滲ませた真壁には届かない。
男の指を受け入れるには聖のそこはあまりにも狭く、心も身体もその覚悟はできていない。
けれど、真壁は指を押し付け、抗う聖の腰をぐっと掴む。
拾い上げていた快楽はすっかり影を潜め、身体も強張ってしまったせいで余計に真壁を拒む。
身体だけでなく、心までも拒まれた気持ちになり、自然と真壁の表情は曇る。
かたかたと震える聖の背中に、頬を伝う一滴の雫が落ちた瞬間――真壁の指は遠慮なくねじ込まれた。
「ぐ……ッ、真壁、ぬ、け……!!」
「もう戻れないって言ったでしょ。……心が欲しいだなんて言わないから、だから……俺を拒まないで」
「何っ、っ……!」
意識が飛びそうなほどの痛みとほんの僅かな快感に、視界が揺れる。血が滲むほどに唇を、握り合わせた両手を掴んだ。
早く――夢なら早く、覚めて欲しいと願いながら。
身を捩っても執拗に追いたててくるその動きに、聖の身体はびくびくと跳ねた。
「ぅ、……く」
意識が奪われそうなほど、追い詰められていく。
何度も何度も、名前を呼んでは拒絶の言葉を吐かれて。それでも、真壁は手を止めずにいた。
「――は……ッや、待っ……!」
「待たない」
短く答え、聖の背中にのしかかると腰を支えていた手をゆっくりと下腹部に移動させた。
誰も触れたことのない身体の最奥と、どこよりも敏感な聖自身。
ふたつの箇所から濡れた音が響き、抗おうとした腕が大きく動いた。けれど、両手首を縛るベルトが擦れびりりと鋭い痛みを与えてくるだけで、まともに動けはしない。
何度かぶりを振って拒絶をしても、与えられるのは――痛いくらいの、快楽だけ。
その事実に、聖の胸をかなしみが支配していく。
「っ、んん……ッ」
「……」
「ッ、――!」
真壁はどちらの腕も激しく動かし聖を追い上げ、その水音にすら感じている耳を嘗めあげる。
ぎゅ、と指を締め付ける力が強くなり聖の身体はぶるりと大きく震え、声なき叫びを上げた。
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