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 一緒にお風呂に入ってご飯を食べて、同じベッドで眠る。  風呂とベッドはともかく、向かい合ってご飯を食べることなど、これまで何度もしてきた。けれどひとつひとつに幸せを感じてかニコニコと笑って正面からじっと見つめてくる真壁を、聖は何度も蹴飛ばした。  力を加減したそれと、頬を赤く染めているせいでネガティブな感情は影を潜めただ真壁の表情をだらしなくさせている。 「いつまでも見てねえで寝ろ」 「うん。おやすみ、聖」  暑苦しいと言いながらも、胸に頭を預けた聖を見下ろしちゅっと音を立てて額にくちづけ、真壁は目を閉じた。  すぐに穏やかな寝息が部屋に響き、腰に回っていた腕から力が抜けた。ずっと気を張っていたのだろう。身を捩っても起きない真壁を見上げた。 「……」  暗闇の中、外から差し込む僅かな明かりが眠る真壁を照らしている。  何度も涙を流しては拭っていたせいで、明日にはぶち腫れた不細工な顔になってしまっているだろう目尻をそっと撫でた。その指先が、またあたたかな雫で濡れた。 「……もう、泣くな。俺は、傍にいる」  癖だらけでふわふわと落ち着きの無い髪を撫でて、耳元に唇を寄せる。 「ありがとう。俺を、好きになってくれて」    ――好きだ、と。何度も、何度も耳元で囁かれて。  いつの間にか、その熱に狂わされていた。そして、その熱が心地よくて、離しがたいものとなっていた。  腕の中に居られることが、嬉しくて幸せでたまらないと思ってしまうほどに。  安堵したように微笑みを浮かべる真壁の寝顔に聖の顔も綻び、そっと瞳を閉じた。  切なくて苦しくて、痛いだけのキスはもう終わった。  これからは、甘い甘いキスを――君と。  Fin.

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