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第4話
「……の、あの……」
「あっ、はい!」
そのまま意識を手放しそうになっていると、声をかけられてバッと姿勢をただす。
ボーッとしていたことで怒られるのかとも考えたが、目の前に立っていたのはお客さんだった。
数冊ある本を抱えて、こちらを見上げている。
「あ……!」
立っていたのは、あの男性だった。
忘れられない、長いまつげに、男らしい肩幅。
この辺りに住んでいるんだろうか。
思わず見とれていると、相手と目が合う。
あわてて本に目を移し会計を始めた。
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