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第3話

外は薄暗くなっていて、少し冷たくなった風が体にあたる。 家までの道を歩きながら、僕はまた、あの男性の事を思い出していた。 頭から離れない。 こんなにずっと人の事を考え続けたのは、初めてなんじゃないか。 異性でも、時々不意に思い出して頬を染めてしまうくらいだったのに。 調子が狂いそうだ。 明日は雨なんじゃないかってくらいに顔が熱い。 早く寝よう。 明日はバイトがあるんだ。 ぼーっとしていてもまずい。 そう思った僕は、家につくとすぐに風呂に入り、そのまま何も考えないうちに寝てしまった。 ◌○◌○◌○◌○◌○ 自動ドアの開く音で振り返り、入店してきたお客様に頭を下げる。 この書店のアルバイトを始めて五ヶ月ほどは経っていた。 始めは苦手だった会計係も、すんなりとこなせる。 昨日ずっと頭から離れようとしなかった男性も、たまによみがえるが、強制的にしまいこめるようになった。 にしても、本の会計をする人が居ないときは、さすがに暇になってくる。 店内も入り口も静かにじっとしていて、誰も来そうにない。 今日のお昼御飯は何を食べようか。 たまには自分で作ってみるのも良いかもしれない。 暇だと思っているうちに、俺はそんなことを考え始めた。

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