3 / 4
第3話
外は薄暗くなっていて、少し冷たくなった風が体にあたる。
家までの道を歩きながら、僕はまた、あの男性の事を思い出していた。
頭から離れない。
こんなにずっと人の事を考え続けたのは、初めてなんじゃないか。
異性でも、時々不意に思い出して頬を染めてしまうくらいだったのに。
調子が狂いそうだ。
明日は雨なんじゃないかってくらいに顔が熱い。
早く寝よう。
明日はバイトがあるんだ。
ぼーっとしていてもまずい。
そう思った僕は、家につくとすぐに風呂に入り、そのまま何も考えないうちに寝てしまった。
◌○◌○◌○◌○◌○
自動ドアの開く音で振り返り、入店してきたお客様に頭を下げる。
この書店のアルバイトを始めて五ヶ月ほどは経っていた。
始めは苦手だった会計係も、すんなりとこなせる。
昨日ずっと頭から離れようとしなかった男性も、たまによみがえるが、強制的にしまいこめるようになった。
にしても、本の会計をする人が居ないときは、さすがに暇になってくる。
店内も入り口も静かにじっとしていて、誰も来そうにない。
今日のお昼御飯は何を食べようか。
たまには自分で作ってみるのも良いかもしれない。
暇だと思っているうちに、俺はそんなことを考え始めた。
ともだちにシェアしよう!