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第7話

目が覚めたら、そこは事務所じゃなかった。 あれ?ここ、どこだっけ。俺は何してたんだっけ……? だるい身体を無理矢理起こして、辺りを見渡す。見る限りホテルのようだけれど。こんな高そうなホテルに泊まった覚えはない。 と言うか、所持金500円の俺がホテルに泊まれる筈がない。 大きなベッドの上に一人ポツーンといる状態で、他に人がいる様子もなく益々不思議だ。 だけど、あるモノを見て思い出した。 ベッドの下に落ちていたアニメのキャラクターがペニスをしゃぶっているパッケージの箱。 やけにだるい身体。 お尻の違和感。 「うわあぁぁぁ!!!」 ついついお金に釣られて新しい扉を開けてしまった! するはずのない処女喪失をしてしまった!! 叫ばないと自我を保っていられない。ヤバイ状態だ。 「うるさいですね。どうしたんですか?ゴキ〇リでも出ました?」 「わあぁぁぁぁぁ!!!居たのかよ!!!!」 「うるさ……」 てっきり一人だと思っていたのに、実はもう一人居たようで、バスルームと思われる扉から男性が顔を覗かせた。 ビックリして叫ぶと、不愉快な顔をして俺に近づいてくる。 「な、なに……」 「お疲れ様でした。椎名さんのお陰でとても助かりました」 深々と頭を下げられ、お礼を言われる。 そ、そうだ。仕事でやっていたんだし、お礼を言われても何もおかしい事じゃない。 なんだ、コイツ結構ちゃんとしてるじゃん。これっきりだし、今回は許してやろう……。処女喪失はショックだが、お金の誘惑には勝てない。 「この用紙に簡単にでいいので感想をまとめておいてください。 あと、次の玩具についてなんですが……」 「……ん?次??」 空耳かな? 次が何とか言ってるけれど……。空耳だよな?? 「はい。次の玩具も試したくて。あ、もちろんお金はお支払いしますよ」 「いや、あの……、俺は……」 「次はこのディルドと、エネマグラとかも試したいな」 「あの、話聞いて?」 「まだまだ試したいグッズ沢山あるので、次もお願いしますね」 女の子ならキュンとするような、イケメンな笑顔を浮かべてそう言う一条は、俺には悪魔に見えた。 もう何も聞こえない。聞きたくない。布団の中に潜り込み、外の世界とシャットアウトしたのだった。

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