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第9話
はい、またね、なんて軽い感じでズボンにしまった俺のちんこをぽんぽんと叩いた。
そして、ぎゅっと抱きしめてきた。
『わぁっ!ちょ、佐伯!』
離れるタイミングがつかなかった俺は、佐伯の体にスッポリと収まっている。
『好き。大好き。好き好き好き好き好き好き好き好き』
いきなり始まった呪いのような告白にフリーズしかけるも、ちょうど触れていた佐伯の胸からあり得ないほどのリズムを刻む心臓の音を聞いて ちょっと体の力が抜ける。
なんだ、こいつ。
なんなんだよ、一体。
そして、俺もなんなんだよ。
『小沢 佑汰くん。大好き。ずっと大切にするからね』
ちゅっとおでこに口づけ。
顔を少し上げると、タレ目をさらに垂らした男前と目が合う。
そして、気づく。
俺の心臓も、佐伯に負けないくらいバクバクしている事に。
...あれ?
『付き合ってくれて、ありがとね』
佐伯は心底嬉しそうに、何度も頬やおでこに口づける。
そうだ。俺、佐伯と付き合うんだ。なんだか楽しくなりそうだな。初めてのお付き合いで、こんなイケメンとだなんて、うまく…お付き、合い?
……あれれ?
『今日、放課後デートしようよ。小沢と行きたい所 沢山あるんだ。甘い物、好き?』
駅前のカフェのケーキがなんたらかんたらと言い出した佐伯から、今度こそ離れようとしたけど、手首にまだネクタイ巻かれたままで佐伯に抱きついていたのは俺の方もだった。
『さ、さ、佐伯、お、俺、男なんだけど…付き合うって…え?あれ?』
『うん。そう、男だね。初めてだよ。同性に…ううん、人にこんなに心惹かれたの』
『え?え?』
『男同士だけど、小沢とはずっと付き合っていきたい』
『え?え?え?』
『小沢も言ってくれたもんね。付き合うって。男に二言はないもんね』
『…えーーーーーーーーー⁉︎』
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