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第14話

「まーじでsakuさん神!!!神すぎる!!!」 例に漏れず、伊咲は大興奮して俺に話しかけてきた。 きゃあきゃあ騒ぐ伊咲に釣られて俺の口元も緩む。 そんな様子を尚史はつまらなそうに眺めていた。 「またあずか」 「なによー。あずくんの魅力が分からない人は 話に入ってこないでくださーい」 伊咲はむぅと口を尖らせる。 ピクっと尚史の身体が揺れた。 今、絶対伊咲のこと可愛いって思っただろ。 分かりやすいな。 「もー、あずくんは早くライブとかさぁ アルバムとかさぁ、ばんばん活動しちゃってほしい! 顔出しもしてほしい!」 「顔出せないってことはちょーブスなんじゃね?」 尚史の辛辣な言葉に伊咲は反論する。 「そんなことないよ!あれは絶対イケメンの声だし、 sakuさんが可愛い顔って言ってたから、 もう間違いなくイケメン!」 それは俺も思う。 あの声から想像できる顔は、間違いなくイケメン。 尚志はやれやれ、と溜息をついた。 「そういう人は、 そうやって謎に包まれたままのがいいって。 人気出て調子に乗って ペラペラ喋る軽い奴になったらどうすんべ」 「うわぁ〜…それは嫌」 「だろ?」 なるほど、それは一理ある。 何でもかんでも公表すればいいってもんじゃない。 知らないから好きでいられる部分は、絶対にある。 意外と良いこと言うなぁ、と思いながら ぼんやりと尚志と伊咲のやりとりを眺めた。

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