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第47話

お肉の焼ける音の中、ムムさんが口を開いた。 「azuとnyaoコラボしたけど、 それについてはみんなどう思う?」 「最っ高に可愛かったです!」 リンさんの興奮した声に合わせて 「俺も可愛いなぁって思って聴きました」 と便乗して言う。 「でもこれでまたazuの年齢が よく分からなくなったよなぁ〜〜」 ロムさんがお肉を分けながら呟いた。 「nyaoって高3だろ? コラボしたってことは同学年かそれ以上なのかなぁ。 nyaoって同い年か年上としかコラボしてないし」 そういうことまで分析してるのか。 あ、お肉美味しい。 「azu、声的には学生っぽいけど…」 「あれだけ曲作れて高校生はないと思います」 「自分で弾いてるもんね、 ピアノとギターとドラムが出来るんだっけ?」 「やっぱり大学生説が濃厚か〜?」 俺は黙ってみんなの話を聞いていた。 下手に喋って口を滑らせたらこわいし。 お肉を頬張りながら思う。 蒼くんは一つ下だから、azuは高一だ。 本当のことを知ったらみんなはどう思うんだろう。 天才だって持ちあげるんだろうな… 「でもやっぱ、人気が出ると厄介なファンが増えるなぁ」 ムムさんの言葉に俺は首を傾げた。 「厄介?」 「あの、ほら、なんて言うの?ガチ恋勢?」 「ガチ恋…」 ガチ恋って、恋愛的な意味で 本気でazuのことが好きなファンの事だよな。 「別にガチ恋否定するわけじゃないけどさ、 あずくんはわたしの彼氏とかほざくファンとかねぇ」 「いるいる、ほんとazuの何を知ってんだって感じ」 「azuは顔出ししないけど、 みんな口を揃えてカッコイイって言いますもんね。 そりゃ夢見ちゃいますよ〜」 「しかも、性格もいいっぽいし」 「初投稿があんなに伸びて 典型的なシンデレラストーリーなのも 人気の理由のひとつですよね」 「今後どうするかが重要だよな。 もっと大手とコラボするか、露出増やすとか」 「sakuと仲良いっぽいしパイプはあるもんね。 あーあ、 もっと売れてほしいけど売れてほしくないな〜」 「わかります〜!」 俺はその後口を挟むタイミングもなく それぞれがazuについて話すのを もぐもぐと口を動かしながら聞いていた。

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