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第48話
なんか、好き勝手、言いたい放題な会だったな…
帰り道、一人で歩きながら思う。
あんなにたくさんazuについて話したけど
結局誰も本当のazuのことは分からない。
すべて憶測。
それがファンってものだけど。
辺りは暗く、しんと静かだ。
azuは、何を思って活動してるんだろう…
やっぱり、人気になりたいのかな…
自分の歩く音だけを聞きながらぼんやり考える。
ああいうぺらぺら御宅を並べる古参のファンと
きゃあきゃあ大声で騒ぎ立てる新規と
azuの曲から何かを導き出そうとする解説班と
azuについて知り尽くしたいガチ恋勢。
azuのファンに限ったことではないが
ファンにも色々種類がある。
俺は一体どこに当てはまるのだろう。
azuの声が好きだ。
作った曲はすべて聴きたいし
少しでもazuの考えに触れたいし
もっと知りたい、近づきたい。
それって、俺も、ガチ恋勢なんじゃないか?
ガチ恋って
何となく意味は分かるけど、分からない。
ふと、蒼の顔が浮かんだ。
見つめすぎたせいでしっかり覚えてしまった顔。
ガチ恋って、本気で好きって意味だよな。
浮かんだ蒼の顔を慌てて打ち消した。
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