｢あずくんのファンってそんな過激じゃなくない？｣ 俺の話を聞いた伊咲はそう言い放った。 昨日の｢僕君の会｣で話題になった ｢厄介なファン｣の話を伊咲にもしたのだ。 ｢っていうか、vommit自体わりと平和だよね｣ そうなのか。 捉え方は人それぞれなのだろうか。 ｢まあ、あずくんに沼る気持ちはわかるけど｣ 伊咲はウンウンと頷く。 ｢あそこまで謎に包まれてさ、 周りからは可愛い可愛いって言われててさ、 それであんなにいい曲作るんだもん、 そりゃ妄想も捗るよね〜〜〜〜｣ こうしてガチ恋が増えていくんだなぁ。 まだazuで妄想していない俺はガチ恋じゃない。はず。 ｢vommitってさ、 動画投稿後しかコメント出来ないからいいよね〜。 変に荒れないし、叩きコメントもないし｣ 伊咲は、ぱんっと両手を合わせる。 ｢アップデートしても そこの機能だけは変わりませんよーに！｣ vommitは定期的にアップデートを重ねているが 初期の頃からずっとそこだけは変わっていない。 今後も変わることは恐らく無いと思うが、 俺はもう少しazuに言葉を届ける機会が 増えてもいいんじゃないかと個人的に思っている。 ｢でもさ、 もっと俺たちのコメントがazuに届けばいいな、 とか思わない？｣ ｢うーん、いいコメントは届けたいけど、 世の中そんな甘くないからさ｣ 伊咲はこてん、と首を傾げて俺を見た。 ｢悪いコメントをあずくんに見せる方が嫌じゃない？｣