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佐野がそうしてきたように逃げ惑う舌を追いかけ、撫でて、食む。
びくびくと身体を跳ねさせる佐野の反応が楽しくて、頬を挟んでいた手をするすると下ろしていき身体のラインをなぞる。
男の俺の手に反応する、男の身体。
佐野の手を封じている今、こいつが俺に何かを仕掛けることなんて出来ない。触ることも、弄ることも。
なのに、俺のそこはもう濡れそぼってしまうほどに興奮しきっていた。
手の甲でそっと触れた、佐野のそこも。同じように痛そうなくらい張り詰めていて、余計に興奮した。
「も、無理……」
「神谷、ッ」
ぞわぞわと押し寄せる高まりに急いて佐野のデニムの前を寛げ、それを取り出して自分のと擦り合わせた。
焦れて乱暴になった手つきは痛みすらもたらしたようで、佐野は眉間に深い皺を刻んでぶるりと大きく身体を震わせた。
それでも、濡れた音が響き始めれば荒い呼吸だけを吐き出して漏れ出そうになる嬌声を抑えるためか唇を噛み締めている。
――その顔、興奮する。
ぼそりと浮かんだ言葉は、口をついて出ただろうか。それとも、咥内に押し止まったか。
それすらも、もう判らない。ただ、早く果てたかった。ふたり同時に、同じ場所にいきたかった。
はしたない欲は耐えることを知らずに、大した時間を待たずに俺の掌に広がった。
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