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第1幕

「先輩好きです。俺と付き合ってください」  お、至ってシンプル。けどアレだな、インパクトが希薄だな。シンプルなら良いって訳でもないんだよ。キュン!がないと。 「5点。『却下』」 「うぃ。了解っす。つーか5点!唐突の採点システム!何点満点?それ」 「63点」 「うわぁ──すっごいリアクションしにくい」  俺たちは漫才部の先輩後輩。そしてネタを合わせている……って思うじゃん。違うのコレ。こいつマジなの。会話はいつもこんなもん。今この状況は委員会が始まるまでのスキマ時間。 「おーいソコ。終わったぁ?始めていー?」 「あ、サーセン。いつでもどうぞ」  いつの間にか委員会メンバーは全員教室に揃っていた。3年の委員長が呆れた顔で俺達を見ている。  ヤメロ、そんな目で見るな。おかしいのはこいつ一人だ。クソゲーと抱合わせで売られる優良ゲームの方だ俺は。 「それじゃあ第3回、図書室利用向上推進委員会を始めまーす」 「──先輩先輩」  密かに名前負けしてると思ってる後輩、瓜生蒼斗(うりゅうせいと)が俺の肘を(つつ)き小声で言った。 「なんで図書委員会じゃダメなの」 「誰も図書室使わないのがいけないんだろ。何としても利用者数増やしたいって気概だけは伝わってくんじゃん。汲んでやれ」 「く、くくっ。先輩おもしれー」  面白いのは委員会名を命名した奴だ。必死か。 「ソーコぉ、我孫子(あびこ)と瓜生。イチャイチャすんなよー。してもいいから黙ってろよ」 「してません!」 「させてもらえませぇん!」 「お前の事情はどうでもいいわ!」  思わずツッコんだ俺に、委員長が増々呆れ果てた表情になる。  え?悪いの俺?委員長だってそう思わなかった?  俺は共感を得ようと瓜生を人さし指で差し、頭の上で二回まわしてやった。 「えーっと、今日の議題について──」  スルーだよ。怖っえ。もう黙っとこ。 「機嫌わっるー」  お前のせいだよ! 「ねえ先輩」  懲りずに瓜生がまだ何か言おうとしている。  一回痛い目みないと分っかんないかなぁ!見て?委員長ね、段々目が座ってきてるの。怖いの。  俺は瓜生を睨んで首を横に振ってみせた。 「え?スライダー?」  何言ってんだ。  良いから黙れ。  俺は瓜生を見ずにもう一度横に首を振った。 「え?じゃあフォーク?」  ピッチングサイン出すわけないよね!?俺ら部活は文芸部だよね!?こっちはツッコめないのにボケ倒してナニ勝ったつもりになってんの!?  あくまでサイレントに俺は叫び、口の前に人差し指を立てて口パクした。  だ・ま・れ 「キ・ス・し・て?」 「てっめ、文字数すら合ってねーしよ!」  教室がシンと静まり返る。  あ、やっちゃった?やっちゃったねコレ。 「我孫子?瓜生?──出てけ」

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