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第4話

ネオン街から少し奥に入った雑居ビルの間。 そこにその店は存在する。 初めて来た人間には分からない通路の奥の狭い階段。 それを上がった所にある場末には相応しくない重厚な扉を開けると、若い男が礼儀正しく出迎える。 「おはようございます。 榊様。」 会員制SMクラブ。 SMクラブと言っても性的少数者限定。 ただでさえ人数の少ない人間の人数の少ない性的嗜好者の出会いの場。 それがこのSMクラブだった。 顔を見せれば人当たりの良い青年が挨拶をし自分の名を呼ぶ。 バーカウンターで何時ものと言えば何時も注文するアルコールが出る。 それなりの金はするが一種のステータスだ。 ただ、そこに足しげく通う人間にはもう1つ目的があった。 それがこの店のオーナー。 艶やかな長い髪が印象的な男とも女ともとれないその顔は一度見たら忘れられない。 その見目 物事の柔らかさ 丁寧な口調 博識な知識 強いて欠点を挙げればあまり感情を出さない位か。 笑顔は見た事がなかった。 何時も作り笑いばかり。 いや、作り笑いも少ない。 けれども、その容姿に心酔する人間はいくらでもいた。

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