87 / 2160

ー記憶ー31

 和也が出て行ってしまった後、雄介の部屋は静かな空間と変わってしまっていた。  雄介は大きなため息を吐くと、ベッドへと寄りかかって携帯を開く。  でもやっぱり雄介の方も、望同様になかなかボタンを押せずにいるようだ。  そして雄介がそう望に電話を掛けるか掛けないかで迷っていると刻々と時間だけが過ぎてゆくのだけだ。  今の時刻はもう既に夜中の零時を差そうしている。  でも確かに和也の言う通り今掛けなければ次いつチャンスが来るか? っていうのが分からない。 いやもう二度とチャンスはないのかもしれない。 それにこのまま放っておいたら和也に望の事を取られてしまうのかもしれない。 それに多分、今日というチャンスを逃してしまったらもう二度と電話を掛けるチャンスがなくなってしまうような気がしたのであろう。 そうなってしまったら益々雄介と望の心は離れてしまうかもしれないとでも思ったのか、次の瞬間には指が動き通話ボタンを押していた。  何回かのコール音。 だが望が出る気配はなく間も無く留守番電話サービスへと繋がる頃だったのであろうか。  望は眠っていたのかただ単に電話に出るのがめんどきさかったのかそこは分からないのだが、電話の向こう側に出た望は本当にだるそうな声で出る。 『……はい』 「望か? 俺や! 俺!」  出てくれた望にそう興奮気味に答える雄介。 『あ、ああ……ぅん……分かってる……。 あ、その……だから、俺はその眠いわけで……また、今度に……』 「それはアカン……俺らにとって重要な話やし、今、聞いて欲しいんやって」

ともだちにシェアしよう!