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ー記憶ー103
「あ、ああ……まぁ、午前中の検査に付き合って来たけど、後数日位で退院の方は平気だって担当の医者が言ってたぜ。 ま、通院は必要みたいだけどな」
「あー……そっか……。 そうそう!」
雄介は急に興奮気味に言うと、
「望が退院したらな、望の家に一緒に住もうと思うとるんやけど……」
「俺もそう思ってたんだけどさ。 ほら、アイツ独り暮らしじゃねぇか、だからさ、俺的には看護師としても心配でもあるしさ。 いつ記憶が戻ってもいいように様子を見てたいし。 俺の方は看護師だからっていう理由で住めるかもしれねぇんだけど、雄介の方はどするんだ?」
「ん? 俺か? ちゃんとそこも考えておるから……ま、大丈夫やって……」
和也にだけ理由を打ち明けようとしたのだが、その直後今まで閉まっていたカーテンの向こう側から声が聞こえて来るのだ。
「もう、開けてもいいぜ」
「だってさぁ」
和也は望の声に反応して笑顔になると、カーテンを開け直ぐ側にあった椅子へと腰掛け、それと同時に雄介の方も椅子へと腰掛ける。
雄介と和也は望の記憶に刺激を与えない程度に思い出話を望にしていたのだが、その途中で和也は院内放送で呼ばれてしまった。
その場に残された雄介と望。
和也がいなくなると逆に何を話したらいいのかっていうのが今の雄介には分からないようだ。 和也がいなくなってしまってからの雄介というのは困った顔をしてみたり焦った顔をしてみたり腕を組んだりしてみたり足を組んでしてみせたり顔を俯かせてしてみせたりところころと表情を変えてしまっているようにも思える。
暫くそんな様子の雄介に病室内には沈黙が流れてしまっていた。
その静かな空間に耐えられないのは雄介なのかもしれない。
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