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ー天災ー77

 雄介は今のこの地震で思わず体が動いてしまい望の元へと駆け寄ると望の事を覆いかぶせるようにして望の事を庇うのだった。  その揺れはすぐには収まり、 「大丈夫やったか?」  そう雄介は心配して望に声を掛けるのだが望からの返答がない。  フッと雄介は望に気付くと望は体を震わせて瞳をギュッと閉じていた。 「……望?」  雄介はそうまた望に声を掛けた。 「……雄介」  望は雄介の問いに声を震わせ雄介の事を呼ぶ。 「何? どないした? 俺は今、お前の側におるし、安心して……」  そう雄介は優しい声で答える。 「あ、ああ……ん……なんでもねぇ……」  確かにあの地震の時はやはり患者さんの事が心配で先に体が動いていたのだが、今考えると怖かった事を思い出してしまったようだ。  トラウマというのはそういうもんなのだから。  そう今まで必死に他の人の為に動いてきたのだから全然冷静でいられたのかもしれないのだが、今は違う。  今はプラベートな時間というスイッチが入っていたのであろう。 要は普通の人と一緒の感覚だ。 だから今更あの時の恐怖が蘇って来てしまったのかもしれない。  そうだそして雄介という恋人が近くにいるのだから余計に甘えたい気持ちになったのであろう。  自分だって普通の人間だ。 機械やロボットではないのだから感情はある。 感情というのは人間しかないものだ。 その感情があるからこそ怖いとか嬉しいとか悲しいとかっていうものがあるのだから。 恋人を前にした時には、そりゃ甘えたい気持ちになるだろう。 誰よりも頼れてしまう人物というのが恋人なのだから。 だけど望の口からはそんな事を素直に言える訳でもなく。 ベッドの上でジッとしている事しか出来なかった。 「どないした?」 「何でもねぇよ……」  何もしてこない雄介に息を吐く。  ……抱き締めて欲しい。 そう素直に言えたなら本当に楽な事なんだろう。

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