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ー天災ー76

 その部屋は一階から二階まで本や医学書や専門書等が代々使われてきたからなのか隅から隅まで本が並べられていた部屋だったのだが、今回の大地震で二階側にあった本なんかは落ちてしまい一階の床にはその本が散乱していた。 「これは流石に片付けるのは大変そうだな」 「ああ」 「落ち着いたら、片付けに来るか? こりゃ、まぁ、一日あっても片付けられそうにはないけどな。 そん時はお前も片付けに来いよ」 「構わへんよって言いたい所やねんけど、それは、流石に出来へんのかもな」  その雄介の答えに望はフッと思い出す。 そうだ雄介は今の仕事が終わったらまた大阪の方に帰ってしまうという事をだ。 「そうだったな」  そう望は答えるものの少し悲しげな表情を見せる望。  書庫を後にすると今度は寝室等がある二階へと向かう。  どうやら二階の方は無事のようだ。  二階にある部屋の中にはベッドと机しか置いていないのだからきっと何でもなかったのであろう。  それに安心したのか望は自分の部屋に入ると自分のベッドへとダイブする。  ここ数日間、本当に望は力を抜く暇なんかなかった。 だが自分の家の様子を見に来て無事だった事にも安心出来て気が抜けてしまったという事だろう。 「あー、眠いし……気持ちいいし、やっぱ、自分の家っていうのが落ち着くんだろうな」 「まぁ、自分の家やしな。 後は匂いなんかな?」 「……匂い?」    その雄介の言葉に俯けの状態でベッドにダイブしていた望は顔だけを上げる。 「ん? なんやろ? 自分の家の匂いってあらへん? まぁ、自分の家の匂いやから鼻は匂い慣れしとるから覚えてへんのかもしれへんのやけど、自分の家の匂いってそれぞれあるもんなんやで。 せやから、自分の家が落ち着く理由っていうのは一番は匂いやと思うねんけどな?」  雄介はドアの所に寄りかかり微笑みながら会話をしている。  そう雄介が微笑んで安心していたその直後、再び家が揺れ始めるのだ。  確かに頻繁に余震というのは続くのだが、こう久しぶりに大きな地震に雄介は、 「望!」

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